田舎の古家の売却前には測量をお勧めします

土地や一戸建ての取引には「実測売買」「公簿売買」の2種類があります。

なんのこっちゃなんですが、これは、「地積」のことなんですね。土地の面積のことなんです。

「公簿売買」とは、登記簿上に記載された地積をもとに売買価格を設定して、契約の後の実測と差異が生じていたとしても金額の清算は行いません。そのような特約を契約書に記載します。

「実測売買」とは、契約は登記簿上の地積をもとに行っておいて、実測によって生じた地積の差異をあらかじめ決めておいた単価で清算します。

土地の取引がこの2通りの取引を前提としているということは、登記簿に書かれている「地積」っていうやつは、そもそも信用されてないんですね。どうせ間違ってるから、「めんどくせーからそのまま支払ってね。」「きちんと面積分は清算するよ。」の2パターンに限られているということです。

なんで登記簿なんてお堅いものに書かれている数値が世の中で信用されていないのか? 不思議ですね。それには理由があります。そもそも「地積」は、登記などの数値をメンテするタイミングが無いと無制限に古い数値が残っているものらしいのです。

「縄伸び」「縄縮み」という言葉があります。

登記簿に書かれている「地積」より実測値が大きかった。なんてのが「縄伸び」。小さかったのが「縄縮み」

昔は、土地の広さを測量するのに「縄」を引っ張ってその長さを測っていたらしいです。その長さから「地積」を算出していたそうですが、縄ですから伸びたり縮んだりして正しい「地積」が出せなかったという説があります。

「縄心」という言葉もあって、そもそもそんなに正確な「地積」が出せないから、年貢を納めるベースとなる「地積」を少し控除して年貢の量を軽くしてあげていたなんて説もあります。

そもそも、年貢の量を軽くしてあげるという意味合いで「地積」が信用できない数値であるというのならば、実測値よりも公簿値の方が小さくなりますよね。だから、「縄伸び」が多いんじゃないかと思うんです。「縄伸び」は、実測したら買ったときの数値より大きかった。「得したz」 と買主さんが喜ぶからトラブルにはなりませんね。

まれに「縄縮み」があって、その場合は、実測したら小さかった。買主さんが「くやしーw」となってトラブルになる可能性があります。そのトラブルを回避するために、契約書に特約が付いています。重要事項説明のときにきちんと説明しないといけないところですね。

「縄伸び」「縄縮み」は、特に農地や山林で起こることが多いそうです。田舎の実家が街中にあればよいのですが、少し街中から離れているようなところにあるのであれば、「縄伸び」してる可能性が大きいでしょう。特に田舎の古い民家を売却するときには、売主の方が損をしないために測量はすべきだと思っています。